フィルムだけが武器だ。

 「つまりは、私にとって映画批評は明日の血肉にするためにある、という事だ。酷評であれ好評であれ血肉にならなければ意義はない。しかし、その様な批評は不幸にして少ない。少ないだけにその様な批評を頂くと身にしみる。ハッパをかけられムチ打たれる思いだ。
 また私は、古めかしい活動屋気質かもしれないが、映画についてものを喋るときにはただフィルムだけで喋ることにしている。活字で書かれた悪評に反駁して活字を駆使して闘って、よしンば勝ったと思って万歳三唱しても実は自慰行為に過ぎないと考える。フィルムだけが武器だ。
 活字はこき下ろし、フィルムは次回作をみてやがれとタテガミを振い立たす。活字はほめたたえる、フィルムは狙い通りに行ったかと胸をふくらます。それだけだ。発表したフィルムにあとから註釈をつけるのも可笑しな話だし、どう活字をあやつっても泥仕合にしかなり得ないと考える。」

岡本喜八「無批評はシャクの種」(「映画芸術」1965年3月号」(『マジメとフマジメの間』2011、ちくま文庫、113~114頁より引用)
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by f_cinemaclub | 2012-04-02 22:39 | 映画


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